「疲れているはずなのに、なぜか肩だけはガチガチに凝っている」――そんな一見矛盾した体の状態に、心当たりはないでしょうか。実はこれ、東洋医学の「虚実(きょじつ)」という考え方で見ると、無理なく説明がつきます。
これまで「陰陽」「五行」という2つの物差しを紹介してきました。今回はもう1つの基本の物差し、虚実についてお話しします。
虚実は、とてもシンプルな考え方です。「虚」は足りない状態、「実」は余分・滞っている状態を指します。虚は、いわば体の”ガス欠”です。エネルギーや栄養、潤いが不足していて、疲れやすい、元気が出ない、冷える、といったサインとして現れます。一方の実は、いわば”渋滞”です。何かが滞っていたり、余分に溜まっていたりする状態で、張る、痛む、熱がこもる、といったサインとして現れます。
興味深いのは、この虚と実が、同時に起こることがあるという点です。例えば、体力が落ちて疲れている(虚)のに、血の巡りが悪くて肩や腰がガチガチに凝っている(実)、ということは珍しくありません。東洋医学では、このように虚と実が入り混じった状態を「虚実挟雑(きょじつきょうざつ)」と呼びます。冒頭の「疲れているのに肩が凝る」という状態は、まさにこの典型例なのです。
そしてこの「虚実」を、これまで紹介してきた「陰陽」と掛け合わせると、体調のタイプを4つに整理して考えることができます。①陽が足りない「陽虚(ようきょ)」、②陰が足りない「陰虚(いんきょ)」、③陽が余分・こもっている「陽実(ようじつ)」、④冷えや余分なものが滞っている「陰実(いんじつ)」の4つです。次回からは、この4タイプを1つずつ丁寧に見ていきます。
まとめると、虚実とは、足りないのか(虚)、余分・滞っているのか(実)を見分けるための物差しであり、陰陽と組み合わせることで、体調をより具体的な4タイプとして整理できるようになります。
次回は、4タイプの1つ目「陽虚タイプ」を取り上げます。冷えやすい、疲れやすいという方は、ぜひ次回もご覧ください。
より詳しく自分の体質タイプを知りたい方には、東洋医学講座もご用意しております。


コメント