「若いから大丈夫」――その油断が、体を潤す力をじわじわと消耗させているとしたら、どうでしょうか。今回は、前回お伝えした「陰虚(いんきょ)」が、なぜ若い世代にも増えているのかを掘り下げます。
前回は、陰虚とは体を潤し冷ます力の不足である、というお話をしました。今回はその背景にある、現代特有の生活習慣についてです。
陰は、体を潤し、心と体を落ち着かせる働きを指します。この陰は、本来なら夜の休息中に静かに養われるものです。ところが現代の生活は、この”陰を養う時間”を奪いがちです。
まず挙げられるのが、夜更かしとスマートフォンです。本来、夜は体を鎮め、潤いを蓄える時間ですが、遅くまで画面を見て脳が興奮した状態が続くと、陰を消耗しやすくなります。次に、慢性的な緊張状態も見逃せません。仕事や人間関係のストレスで、交感神経が優位な状態がずっと続くのは、いわば”エンジンをふかしっぱなし”の状態に近く、これも陰を使い減らしていきます。
そして、見落とされがちなのが、水分と塩分のバランスです。喉が渇いたときにがぶ飲みするような水分の摂り方は、体にじわっと潤いを届けるというより、一時的に通過するだけになりがちです。かといって、水分や塩分を極端に控えすぎるのも、体液のバランスを崩し、かえって乾きやすい体を作ってしまいます。塩分を怖がりすぎて極端に減らす、逆に濃い味や刺激物を摂りすぎる、どちらの極端も、体を潤すバランスを崩す要因になり得ます。
つまり陰虚は、「歳を取ったから」だけで起こるものではありません。夜更かし、慢性的な緊張、水分と塩分の偏った摂り方といった、現代的な生活習慣によって、静かに、しかも若いうちから進行することがあるのです。
まとめると、陰虚は加齢だけが原因ではなく、日々の生活習慣の積み重ねによっても進行します。心当たりのある方は、次回紹介する具体的な養生法をぜひ参考にしてください。
次回は、陰虚タイプの具体的な養生法として、水分・塩分の摂り方のコツをお伝えします。
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