「あの人、今日は顔に生気がある」――実はこの”生気”も、東洋医学でいう「神(しん)」の一種です。今回は、内からくる病因につながる大事な概念、神を紹介します。
前回は、外からくる原因、六淫(りくいん)でした。今回は、内からくる原因につながる大事な概念、神についてお話しします。
「神」という言葉には、実は2つの意味があります。1つは広い意味の神で、生命活動そのもの、いわば「元気の総量」のようなものです。顔色や表情を見る診断法で「神がある・ない」という言い方をするのは、この広い意味の神です。
今日お伝えしたいのは、もう1つの、狭い意味の神です。こちらは、心が蔵している、精神・意識活動を指します。思考する力、記憶する力、眠りの安定、感情のコントロールといった、いわば”心の働き”そのものです。東洋医学では、この精神活動をさらに5つに分けて、「神・魂・魄・意・志」という五神(ごしん)として捉え、それぞれ心・肝・肺・脾・腎に宿るとされています。
気が足りないと体に元気がないように見えるのと同じように、神が乱れると、眠れない、集中できない、気持ちが不安定になる、といったサインが出ます。以前の回で紹介した通り、心は血によって養われるため、血が不足すると神も安定しにくくなります。つまり、精神的な不調は、単なる”気の持ちよう”ではなく、体の状態と直結している、というのが東洋医学の考え方です。
まとめると、神(狭義)とは心が蔵する精神・意識活動です。不眠や集中力の低下は、体からのサインでもあります。
次回は、この神と深く関わる「七情(しちじょう)」――感情が病因になる、という話です。
心と体のつながりについてより詳しく知りたい方には、東洋医学講座もご用意しています。


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