「東洋医学って、なんとなく古くて怪しいイメージがある」――そう感じたことはないでしょうか。鍼やお灸、漢方薬という言葉は知っていても、その中身がどんな考え方でできているのか、案外知られていません。実は東洋医学は、思いつきや言い伝えの集まりではなく、2000年以上にわたる「人体観察の記録」から生まれた、れっきとした体系立った医学です。
東洋医学が生まれたのは、今から2000年以上前の中国です。レントゲンも顕微鏡もない時代、当時の人々は、昼と夜の移り変わり、四季の巡り、天候と体調の関係を、気の遠くなるほど丹念に観察しました。その積み重ねの中で、「人の体は自然の一部であり、自然と同じ法則にしたがって動いている」という考え方にたどり着きます。これが、東洋医学のすべての土台になっている発想です。
この考え方を初めてまとめ上げた最古の医学書が『黄帝内経(こうていだいけい)』です。ここから理論はさらに時代とともに磨かれ、鍼・お灸・漢方薬・気功・按摩といった、いくつもの技術に枝分かれしながら発展してきました。
日本へは、遣隋使・遣唐使の時代に伝わりました。伝わったあとも、日本の風土や体質に合わせて独自に発展を遂げます。特に鍼灸は、日本の繊細なものづくりの文化と結びつき、世界的に見ても独自の進化をとげました。現在の東洋医学は、中国で体系立てられた「中医学」と、日本の伝統的な鍼灸、この2つの流れが合わさって、今のかたちを作っています。
つまり東洋医学とは、勘や言い伝えで成り立っているものではなく、数千年分の観察と経験の積み重ねによってできあがった、体系立った医学だということです。この歴史を知っておくと、これから紹介していく「陰陽」や「五行」といった考え方も、単なる古い言葉ではなく、長い時間をかけて磨かれてきた実用的な物差しとして、ぐっと理解しやすくなるはずです。
まとめると、東洋医学は自然観察から生まれた体系立った医学であり、その考え方は今も鍼灸や漢方薬という形で息づいています。
次回からは、その観察の積み重ねが生み出した「体の見方」を、1つずつ丁寧に紹介していきます。まず取り上げるのは、東洋医学でいちばん基本となる物差し「陰陽」です。
より詳しく体系立てて学びたい方には、東洋医学講座もご用意しています。また、実際に体で東洋医学を体験してみたい方には、耳つぼ講座もございますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。


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